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取組みファイル009

「百の薬より、雲南百薬で健康に!」

たかはたうまい食べもの研究会


 「雲南百薬」という字を見ただけで、体に良い野菜であることは想像がつきます。でも、良薬口に苦し、もしかして苦くて食べにくい野菜なのでは?

 食したことのない未知の野菜「雲南百薬」。高畠町の「うまい食べもの研究会」には、「高畠うんなん研究会」があり、10年以上前からその栽培に取り組んでいます。

 今回は、その「うまい食べもの研究会」に所属する皆様にお集まりいただき、お話をお聞きしました!


 

左から市川さんのお父さん、お母さん、市川弘明さん、後藤かお里さん、菊地良一さん、菅野敦匡さん
 
―雲南百薬があれば野菜いらず!?―
 
 青々とした木が茂る小高い山を左手に見ながら、高畠町を上山方面に向かい進みます。横道に入ると見えてきたのは、「たかはたうまい食べもの研究会」と書かれた黄色い旗。ジリジリと暑い中、会員の方が集まってくださっていました。
 
 「うまい食べもの研究会は、『低硝酸態窒素』・『高ミネラル』な農産物作りを基本に考えており、雲南百薬はその両方を満たすことができる農作物であるため、研究に取り組みました。」
 と説明してくださったのは、代表の市川弘明さん。

 『硝酸態窒素』は、大量に摂取すると体内で酸欠状態などを引き起こし、様々な病気の要因になるとも言われています。井戸水から摂取する場合もありますが、硝酸態窒素を含む肥料が大量に施肥され、葉物野菜に大量に残留することもあるのだそうです。うまい食べもの研究会では、できるだけ農薬を使わないことを前提に、オリジナルの肥料を使うことで低硝酸態窒素栽培に取り組んでいます。

 『高ミネラル』は、その名の通り多くのミネラルを有した農作物です。雲南百薬は、マグネシウム・カルシウム・亜鉛・銅などの必須ミネラルやビタミンAなどを多く含みます。「わたしの家では毎日100gくらい雲南百薬を食べています。それだけで一日に摂取すべき緑黄色野菜300g分をはるかに超えてしまうんですよ。」と菊地良一さん。なんとマグネシウムはレタスの8倍、銅はキャベツの8倍、カルシウムはトマトの10倍も含まれているのだとか!
 
―おいしい雲南百薬を作る―
 たかはたうまい食べもの研究会が立ち上がったのは10年ほど前。雲南百薬を栽培するに当たり、メーカーから苗を400本仕入れ、どこの土や環境が合うのか実験するためにいろんな地域の農家に依頼し、栽培してもらったのだそうです。栽培した当初は、栄養はあるけれど食味が悪く、栽培する地域や土づくり、栽培方法を工夫しながら、10年の歳月をかけておいしい雲南百薬ができるようになったそうです。雲南百薬の栽培を本格的に始めたのは、全国でここが初めてなのだとか!


 雲南百薬はとても成長が早いため、上からどんどん覆いかぶさってきて、放っておくと30mにもなります。それを取りながら、きちんと葉っぱが大きくなるように育てます。それだけ成長が早い野菜ですから、大量の肥料を必要とします。その量は果樹にも匹敵するほど!そして肥料と同じくらい重要なのは水です。雲南百薬は水に弱いため、水はけのよい土地でないと根腐れや病気が発生してしまいます。
 多年生の野菜ですが、高畠町は寒さが厳しいため冬を越せません。いったん掘り出して凍みないように保存して春に植えなおします。収穫は6月半ば~11月半ばまで。日中は葉がくたっとしてしまうため、朝4時ころから8時ころまでに収穫されます。
 
―ヌルヌルしゃきしゃき、食べごたえバツグン!―
 
 食べ方の定番はおひたし。しゃぶしゃぶのようにほんの30~50秒ほど湯にくぐらせ冷水にとります。茹ですぎると食味が落ち、黒ずんできてしまうので注意です。
 この日はポン酢のおひたしをご用意してくださっていました。箸で持ち上げてみると、ぬるっと糸を引きます。わかめのような食感をイメージしましたが、食べてみるとしゃきしゃきの歯ごたえ!癖もなくてとても食べやすく、食べごたえも十分。ポン酢以外にも、しょうゆや各種ドレッシングにも合うそうですので、お好みの味付けで召し上がってみてください。

 そのほか、刻んで納豆に混ぜたり味噌汁に入れたり鍋の具材や天ぷらにしてもおいしいとか!また、にんにくとの相性がとてもいいため、おひたしにすりおろしにんにくとしょうゆをかけたり、にんにくを加えて炒め物にしてもおいしいのだそうです。
 料理人が考案してくれた食べ方でおすすめなのが、にんにくを薄切りにしてオイルで焦げ目がつくくらい焼き、そこに雲南百薬を入れて塩コショウで味付けし冷やしめんに上げて食べるレシピだそう。暑い季節でも栄養満点、スタミナが付きそうなレシピですね!

 
―健康的な長寿のために!―
 
 農業は、後継者不足がどこでもささやかれます。しかしうまい食べもの研究会では、若い後継者が次々に育っています。菊地さんと市川さんがはじめられた当会は、現在会員は24人にまでになりました。

 この日集まってくださった方の中には、最近始められたばかりの方もいらっしゃいます。後藤かお里さんは「祖母のように畑仕事をしたいと思ったのと、子どもがいるので安全安心な野菜作りに興味があり、入会しました」とのこと。菅野敦匡さんは、「うちは代々農家なので、自分も多少は農業に携わってきましたが、肥料によってこんなに味が変わるということを考えたことがありませんでした。肥料、食味、栄養素、そういったことを勉強できるのは、これからやっていく自信になっています」と話してくださいました。

 雲南百薬の栽培について市川さんは雲南百薬はあくまでも手段というか、目的は人を長寿にすることなんです。でも、ただ寿命が長くなればいいというものでもないですよね。病気をしながら長生きするのではなく、やっぱり、実際に動ける年齢を引き上げる、病気にならない形でやれるような社会が作れたらなというのが私の目標なんです。」
 市川さん自身、身近な人が食事によって病気を克服している例を見てきています。食べて健康になる野菜を作り、健康な社会を作りたい。そのぶれない想いがあるからこそ、仲間が増えていくのでしょうね。

 雲南百薬を食べることで健康を維持できるのかどうか?それはやはり、食べて実証するのが一番でしょう!百の薬よりも健康野菜。ぜひ、試してみてください。
 

購入できるところ:山形県アンテナショップおいしい山形プラザ、県内スーパー、県内百貨店、高畠の直売所
お問い合せ:たかはたうまい食べもの研究会 会長 市川弘明 090-8922-0746
(取材日:2013.8.10)

取組ファイル008
「窪田なすは、この地区の象徴」
渡部照子さん
取組ファイル006
「この土地でしか育たない高豆蒄瓜」
渡部こうさん

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