台風一過で快晴の日、山口さん宅がある飯豊町の宇津沢地区を訪ねました。雲一つない青空に緑の木々が鮮やかに映え、金色に頭を垂れた稲穂がそよそよとなびいています。かぼちゃ畑を見せていただくと、

5年ほど前から猿が出始め、畑の作物が被害に遭うのが悩みの種だそうですが、かぼちゃは植えつけてからはあまり手をかけなくてもいいので、栽培はしやすいようです。芽かきや摘花などを行わなくても、1つの苗から実はだいたい2つでき、今年150株を植えた山口さん宅では、300個くらいの収穫が見込まれています。ほかのお宅ではそれぞれ100株くらいを植えているそうです。収穫したかぼちゃは、親戚へあげたり、毎年注文をくれる方へ送ったり、各レストランへ卸したり。一般的にはあまり出回らず、
販売しているのは飯豊町の白川荘のみです。
― 食べておいしく見た目にも鮮やか ―

この日いただいたのは、
かぼちゃの煮つけとサラダ寒天。煮つけは砂糖と塩で煮たもので、鮮やかなオレンジの色合いがそのまま残っています。
ホクホクと栗のようで、でもパサつく感じではなくほっくり優しい食感。ほんのり甘く、皮までおいしくいただきました。サラダ寒天は、かぼちゃサラダを寒天で固めてお菓子風にしたもの。サラダはポテトサラダと同じ要領で、卵、きゅうりが入っていました。
かぼちゃサラダもとても好評で、訪問客があるときはいつも作ってふるまっているそうです。

宇津沢かぼちゃのおいしさに惚れ込んだ、米沢市の
「リストランテ喜右ェ門」では、昨年
「宇津沢かぼちゃのクリームチーズ和え」をコースメニューの前菜として提供していたそうです。そのままのおいしさを味わってもらえるよう工夫した一品で、大好評だったのだそう。
かぼちゃを選ぶポイントとしては、
皮がしっかり固いこと。爪を立てて柔らかいのはおいしくないのだそうです。また、
下に大きなへそがあるものがおいしいのだとか。
― 宇津沢地区の魅力 ―
「こんなにみんなに喜ばれるとは思ってもみなかった」と山口さん。おいしさが注目されるようになってから、いろんな人が訪ねてくるようになったそうです。
「人が好きだから、いろんな人が来てくれて接せられるのが嬉しくて。」と笑顔でおっしゃいます。
また、宇津沢の魅力はかぼちゃだけではありません。宇津沢わらび園には
毎年1,000人くらいが全国から訪れ、地域の人たちが手料理をふるまっています。15,6年前から常連の方もおり顔なじみになっているのだとか。さらに、ここの景色や空気が気に入り、
移住する人もいるのだそうです。埼玉県から移住した方はすっかり地域になじみ、今度は神奈川県の夫婦が、古民家を購入し近々移り住む予定なのだそうです。
「わたしだはよ、働きさえすっと調味料あったくらいで暮らしていられんなだ」と山口さん。山仕事、畑仕事をすれば、買い物に行かずとも食材は豊富に揃うのです。しかも新鮮!なんと贅沢なことでしょう。
栽培者は9軒、ここでしか育たない貴重な宇津沢かぼちゃ。100年以上前からこの土地の生活の一部であった宇津沢かぼちゃは、すこしだけ、生活を飛び出て、より多くの人を惹きつける人気者になっています。
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