「紅大豆に夢を託して」
川西町紅大豆生産研究会 淀野貞彦さん
鮮やかな深い赤色をした豆、紅大豆。川西町の特産品となっているこの紅大豆は、10年ほど前に脚光を浴び、徐々にファンを増やしてきました。
その色から山形県の県花「紅花」を連想し、山形県を代表する作物になってほしいという想いをこめて「紅大豆」という名がつけられたそうです。
今回は、川西町紅大豆生産研究会の会長である淀野貞彦さんに、その魅力をお聞きしました!
― きっかけは、おばあちゃんの煮豆 ―
広大な紅大豆畑では、コンバインで刈り取り作業が行われていました。もともと田んぼだった場所にたくさんの紅大豆が植えられています。「今年はすごくいい色ですよ」と淀野さん。雨がほしいときに降り、気温が下がってほしいときに下がったので、色がよく出たのでは、とのことです。
紅大豆はもともと、川西町で自家用として栽培されてきました。
注目を集めるようになったのは、平成14年に行われた山形県の大豆料理コンテストに出品された、おばあちゃんの「赤豆の煮豆」がきっかけでした。審査委員の一人だった山形市の仁藤豆腐屋さんが、小豆と見間違うほど鮮やかな赤色の豆を珍しく思い、そこから生産販売が始まりました。
その後平成18年に、この赤豆を町の特産品にしようという声が上がり「川西町紅大豆生産研究会」が発足。
「紅大豆」という名称を付け、生産量増加、品質向上に努めました。
栽培方法は、
農薬と化学肥料を50%減らして作る「特別栽培」。紅大豆はもともと水や病気に弱い在来種です。特別栽培を実現するために、水はけがいいなどの条件を満たす圃場で栽培しています。また、品質を一定に保つため、紅大豆らしい特徴をしている豆を淀野さんが選抜し、種にしています。
収穫された豆は1か所に集められ、水分量15%以下になるよう乾燥機にかけられます。その後、販売先の要望に合わせて選別し、
手作業で磨きをかけて出荷されます。
おもしろいことに、紅大豆が赤いのは豆の表にだけで、中身は普通の大豆と同じです。収穫の3週間くらい前から少しずつ色づき始めるため、枝豆の時期は普通の大豆と同じ緑色なのだそうです。
― 甘味のある紅大豆 ―
紅大豆は、普通の大豆よりももっちり感があり、煮豆にするとコクや甘みが出ます。そのため少量の砂糖で済むので、自家用に少しずつ栽培され続けていたのでは、と淀野さんは言います。
煮豆のほか、春には桜ごはんがおすすめだそうです。紅大豆を一緒に炊き込むと淡い桜色になるので、桜の季節にピッタリです。
また、豆腐や納豆、甘納豆などの加工品の販売もされています。パッケージには必ず「川西町」と入れ、町のPRも欠かさないのだとか。
― 紅大豆で広がる夢 ―
現在、置賜農業高校を含めて
生産者は18名。生産、販売だけでなくイベントなどを通して広報活動も積極的に行っています。
その一つに、
川西町の幼稚園や小学校で児童と一緒に種撒きをする活動があります。同研究会の発足当初から行っており、少しずつ子ども達にも紅大豆が浸透してきています。その証拠に、1年生のころから活動に参加していた6年生は、修学旅行先で
「地元に珍しいものはありますか?」と質問された際、
「紅大豆!」と自慢げに話したそうです。子ども達の心に根付けば、地域の未来に大きな意味を持ってきます。
淀野さんは最後に、
「川西には、特徴的な作物はあまりありません。県外に行った時に、川西のものとしてぱっと浮かぶものができればなと思っています。そういう意味でも、私たちは紅大豆に夢を持っています。夢を持ちながら、川西の宝を守っていきますよ。」と笑顔で話してくださいました。
小さなきっかけから注目を集めた紅大豆。川西の希望の種として、これからどんなふうに育っていくのでしょう。
(取材日:2013.10.29)
● 紅大豆についてのお問い合せ先 ●
川西町紅大豆生産研究会 淀野貞彦さん
qbee-y32@cat.omn.ne.jp
※@を半角にしてお送りください
- 「香りと味の良さは「馬のかみしめ」がピカイチ!」
- 遠藤孝太郎さん
- 「窪田なすは、この地区の象徴」
- 渡部照子さん