飯豊ながめやま牧場は、山形県の飯豊連峰のふもとに広がる
面積180ha(東京ドーム38個分)の広大な牧場です。ホルスタイン種、ジャージー種、ブラウン・スイス種の3種類の乳牛
320頭を飼育しており、
2006年から放牧酪農に取り組んでいます。
2010年に東北で初めて認証された
「放牧畜産実践牧場」には、一頭当たりの放牧面積が15a以上という
厳しい基準があり本州での取得は難しく、取得した牧場の数も多くはありません。
飯豊ながめやま牧場には、守っている原則が3つあります。
1つは、
牛の自由に任せて放牧していること。乳牛は暑さに弱く、寒さに強い生き物なので、
雪に覆われる冬季以外は常時放牧、夏は夜間放牧を行っています。また、
1頭1頭の間に柵を設けず、自由に歩き回れるフリーバーン牛舎を採用しているため、牛は自分が好きな場所でリラックスして過ごすことができ、ストレスが軽減されるそうです。
2つ目は、輸入牧草を一切与えず、自給粗飼料や地元産の飼料米を与えること。あわせて、牧草地やトウモロコシ畑には、牛舎から出る牛糞を発酵させた堆肥を使用し、地域内における耕畜連携を図り循環型酪農を行っています。
そして3つ目は、おからやりんご粕、ウィスキー粕、モルト液など食品工場から出る食品副産物の利用(エコフィード)を実践すること。
このように、飯豊ながめやま牧場では飼料自給率の向上に取り組んでいます。
― 癖がなくあっさりとした飲み口の牛乳 ―
搾乳は一日に2回。朝は6時から9時まで、夕方は16時から19時までの3時間ずつ365日搾乳しています。大きな円盤状の台にあるゲートに牛が一頭一頭入ると台が自動的に回転します。1周すると搾乳が終了し、牛の入れ替えを行います。このような大型の機械を導入している牧場も珍しいそうです。
飯豊ながめやま牧場の牛乳の大きな特徴は
75℃15秒間で低温殺菌された「パスチャライズド牛乳」(低温殺菌牛乳)であること。たんぱく質が固まらず牛乳独特の臭いが抑えられ、
牛乳が苦手な人にも飲みやすいあっさりとした味わいです。低温殺菌であることから、加熱して使用するより
冷やして牛乳そのものの味を味わうのが一番オススメです。もちろん、
飯豊ながめやま牧場の生乳のみを使用しています。
飯豊ながめやま牧場で生産される牛乳は、放牧や地元産飼料米を与えることにより、一般の牛乳に比べ、肥満防止などの効果があると言われる
脂肪酸「共役リノール酸」の配合が高く、細胞の老化防止などの効果があると言われる
ビタミンEの一種「α-トコフェロール」の含量がやや多いということが実証されています(山形県畜産試験場分析値) 。また、成分無調整乳のため無脂固形分8.3%以上、乳脂肪分3.4%以上という規定にそって生産されています。
牛乳のほかには
ヨーグルトの製造を行っています。こちらも
飯豊ながめやま牧場の生乳のみを使用しています。安定剤や香料などを使用せず、
生乳と乳酸菌の力だけで発酵させたヨーグルトです。長時間発酵させることにより
酸味が少なく、まろやかな仕上がりになっています。また、ブルガリクス菌とサーモフィルス菌という
酸味が強くない乳酸菌を使用しミルク感が損なわれないようにしているほか、賞味期限まで安定した味を持続できるのが特長です。
― 牛をパートナーとし、酪農本来の形を目指す ―
現在は、牧草の収穫や雑草の処理は機械で行っていますが、いずれはそれらを全て牛に任せ、
牛が歩いて牧草地を耕す、牛のふんで土を作る、牛が牧草を食べて草地を造るといった
「酪農本来の形を目指していきたい」と松岡さん。
牛を生産の道具として扱うのではなく、パートナーとして捉え、牛から搾り取るのではなく
恵みを受け取っているという意識を大切にしています。
「これからも皆さんに美味しく飲んでいただくために牛乳を作っていきます。」と話してくれた飯豊ながめやま牧場の方々。牛にとって最高の環境が、人間にとって最高の恵みへと繋がる「酪農」を目指して、飯豊ながめやま牧場の挑戦は続きます。
(取材日:2017.10.19)
● 飯豊ながめやま牧場の問合せ先 ●
株式会社飯豊ながめやま牧場
TEL:0238-74-2304
● 飯豊ながめやま牧場乳製品 取扱店 ●
・スーパーキムラ 各店
商品名「山形県産放牧酪農牛乳」「放牧酪農プレーンヨーグルト」
・あいコープみやぎ
・あいコープふくしま
商品名「放牧パスちゃん牛乳」「放牧パスちゃんプレーンヨーグルト」