「寒さから生まれたうんめぇ宝物、寒中野菜」
米沢青果株式会社 寒中野菜部会
寒さが厳しく、大雪に見舞われる置賜の冬。「いや~寒じるねぇ」(寒いという意味の方言)が街中で聞かれる頃、今回の主役「寒中野菜」は作られます。
寒さと雪の力を借りて生産する「寒中野菜」について、米沢青果株式会社寒中野菜部会の寒中ネギの生産者寒河江与一さんと、寒中キャベツの生産者我妻拓也さんにお話をお聞きしました。
寒中野菜は、
雪国の寒さを利用して甘味・旨味を引き出した高糖度の野菜で、
ネギ、キャベツ、はくさいが生産されています。現在、
寒中野菜部会に所属する生産者は26名。最も多いのはキャベツの18名で、ネギの8名、はくさいの3名と続きます(足し上げると26名よりも多くなりますが、複数の品目を生産されている方がいらっしゃるためです)。
寒中野菜の始まりは、冬に野菜で所得をあげたいと考えた生産者が、米沢青果株式会社(以下、「米沢青果」)に話を持ち掛けたのがきっかけです。
「最初は雲をつかむような話で受け入れてもらえなかった」と寒河江さん。17年前、米沢青果の嶋貫部長が担当に就任し、「面白い取り組みだからやってみよう」と生産者2名からスタートしました。
生産者が
消費者の気持ち・目線になり自信をもってこだわりの寒中野菜を出荷していくうちに、徐々に各自治体からも支持を得ることができ、
今では米沢青果で取り扱う品目のうち第2位の生産額となっています。
寒河江さんが生産する
寒中ネギは、収穫前の
糖度検査で9度以上でないと収穫できません。11月末に収穫して貯蔵しますが、
雪が降るとネギが折れてしまうので天候には気を遣います。また、寒さが厳しくなりすぎると凍ってしまうので、
温度管理に工夫を凝らしながらの保存が大変だと話してくださいました。
ネギは万能野菜ですが、
特に素焼き・天ぷら・鍋物がおすすめとのこと。
生で食べると甘味の後に程よい辛さがあるので薬味にも向いていますが、火を通すことで甘味も際立ちます。
「今後も生産者を拡大させ、冬季間の所得の向上を目指しながら、おいしい野菜を出荷し続けます」と話してくださいました。
(写真:寒中ネギを生産している株式会社ほりがね 寒河江与一さん(右上)と社員の皆様)
我妻さんが
寒中キャベツの生産を始めたのは、5年前。最初は
キャベツの貯蔵に四苦八苦し、失敗することも多かったそう。
パレットを敷いた上にキャベツを乗せて貯蔵することで通気性をよくしたり、毛布やネットで太陽の光を遮ったりと、毎年のように試行錯誤を重ねてきました。
一番大変なのは、降り積もった雪からキャベツを掘り起こすこと。除雪機はもちろん使えないので、
スコップ一つで掘り起こします。
寒中キャベツと普通のキャベツの違いは、甘みや旨味が高いことのほか、
ぎっしりと身が詰まっていること。雪に覆われてもつぶれないように、
早く植えて少し長く成長させることで、締まったキャベツを作ります。
「この収穫のタイミングが大切です」と話してくださいました。
寒中キャベツの
糖度は8度以上。高いときは
10度以上になることもあるんだとか。その甘味を味わうためにも、まずは生で食べるのがおススメ!素材そのものを味わってみてください。他にも煮込み料理や鍋として食べると甘味がより増します。
「今後は生産者、面積ともに増やし、
山形の冬といえば寒中キャベツといわれるくらいの浸透を目指していきたい」と話してくださいました。現在も比較的若い人が多い寒中野菜部会ですが、さらに若手生産者を増やすよう取り組んでいくそうです。
「まずは一度、寒中キャベツを食べて、キャベツの違いを感じてほしいです!」と我妻さん。
雪や寒さといったマイナスにとらえがちな要素をプラスにすることができる、雪国だからこその宝物です。
(写真:寒中キャベツを生産している野菜農園笑伝~EDEN~ 我妻拓也さん)
(取材日:2018.1.16)
● 米沢青果株式会社 寒中野菜部会のお問合せ先 ●
米沢青果株式会社
電話番号:0238-37-4111
● 「寒中野菜」の取扱店 ●
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