「なぜ山形県には多くの在来作物が残っているのでしょうか。在来作物を栽培している人々に作り続けているわけを聞くと、一番多く返ってくる答えは『美味しいから』です。」
(「どこかの畑の片すみで」山形在来作物研究会/編 15頁より引用)
本書によると、山形県には130品目以上の在来作物が残っており、しかも県内各所に比較的まんべんなく残されているのは、興味深いことだと書かれています。
これはつまり、こう解釈できるのではないでしょうか。山形の人は“おいしいもの”に敏感で、多少手間がかかってもおいしいものを食べることに貪欲であると。
長井市にも、おいしさに貪欲な方たちがいます。それは伝統野菜だけにとどまらず、新野菜へも挑戦を続けている方たちです。伝統野菜「馬のかみしめ」が旬を迎える10月上旬、「伝統野菜と新野菜を楽しむ会」という試食会が開催されるということで、取材させていただきました!
この日試食品として用意されていたのは、貴重なおきたま伝統野菜である「馬のかみしめ」、「花作だいこん」、また在来種のお米「さわのはな」や新野菜の「行者菜」を使った料理11品。
生産者でありこれらの野菜の“総合プロデューサー”でもある遠藤孝太郎さんからのごあいさつの後、置賜総合支庁西置賜農業技術普及課の赤間吉広主任専門普及指導員より「馬のかみしめ」や「花作だいこん」などについての説明があり、乾杯をして試食に移りました。メニューを以下にご紹介します。
● 馬のかみしめ ●
切り和え
なすやきゅうりなど「だし」の材料を大ぶりにカットし、馬のかみしめと和えたもの。
素材の味がしっかり生きています。
ささぎのじんだん和え
不思議な組み合わせと思いましたが、予想外によく合います!
添えてある葉は、生産者である横澤さんの畑に生えていた草だそう。
春巻き
春巻きの皮で馬のかみしめを巻いて揚げたもの。
おやつにもおつまみにも!
プリン
馬のかみしめの香りと生クリームが良く合います。
ラララララスク
今年発売された西置賜の農産物を使ったラスク。秘伝豆と馬のかみしめを合わせたもの。
豆腐
馬のかみしめは豆腐にするのが難しく、試行錯誤の末たどり着いた一品。
豆の香りが生きたお豆腐です。
納豆
超大粒納豆のため、一粒一粒じっくり味わえます。
おつまみとしても最適!
● 行者菜 ●
行者菜うまみそメンチ
馬肉を使った味噌味のメンチカツ。行者菜も入ってスタミナ満点!
カンタンワンタンスープ
行者菜の食感と香りが食欲をそそります!
● さわのはな ●
新米
貴重なお米さわのはなの、さらに貴重な新米!
つやつやでほどよい甘味があり、このご飯があればおかずがいらないくらいおいしい!
(写真は納豆が乗っています)
● 花作だいこん ●
漬物
ぱりぱりとした食感がたまりません!
おかずとしてもおつまみとしてもお茶請けとしても、何個でも食べられそうな一品です。
*******************
どの料理も大変おいしく、歓談しながら飲んで歌って、楽しく試食会は進みました。
馬のかみしめも、花作だいこんも、一時は幻と言われるほど生産量が減ってしまった伝統野菜。けれど生産者の情熱と、おいしさへの探求心により作り続けられてきました。生産者の思いがなければ、私たちはもう食べることすらできなかったでしょう。長井市に行かれる際には、これらの貴重な作物とその加工品を、ぜひ手に取ってみてください!
(取材日:2013.10.3)
購入できるところ
おらんだ市場 菜なポート
やまがたタス物産館
「馬のかみしめ」について詳しくはこちら
「行者菜」について詳しくはこちら
「花作だいこん」はこれからレポート予定です!