置賜を代表する野菜がきゅうりです。特に、置賜のきゅうりは、手詰め選果されており、鮮度の尺度となるイボがそのまま残っています。最近のきゅうりは、ブルームレスきゅうりといって、果実の光沢が強く白い粉を吹かないように栽培したものが中心ですが、その分、鮮度の見極めが難しくなってしまいました。触るとちくちくと痛いイボがついているものは、新鮮な証拠です。きゅうりは、鮮度が食味に直結しており、時間の経過とともに食味は急速に低下しますので、地元のきゅうりを食すことをおすすめします。
きゅうりの原産地はインドのヒマラヤ山麓あたり。3000年ほど前から栽培され、日本には中国から6世紀ころ渡来しました。平安時代から栽培され、本格的な栽培は江戸時代に入ってからです。「きゅうり」の呼称は、漢字で「木瓜」または「黄瓜」(きうり)と書いていたことに由来します。「胡」という字は、シルクロードを通ってきたことに由来します。
かつては熟した実を食用とした事もありましたが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになりました。
家庭菜園でも人気があり、育てている方も多い野菜です。しかし、一方では蔓の伸びが速く、枝が込みやすいことや、風に弱いこと、病気につきやすいことなどから、栽培にはかなりの技術を要します。
自根栽培では、土壌病害にやられやすいので、産地ではかぼちゃの台木に接木して栽培するのが一般的です。この時、ブルームレス台木と呼ばれる特殊な台木に接木することで、品種に係わらずブルームレスきゅうりになります。
地這い栽培用の品種もありますが、基本的には支柱にきゅうりネットを張って、誘引栽培を行います。
きゅうりは単為結果性の性質をもっているので、交配しなくても実は太ってきます。花が咲いてから、約7日程度で収穫となります。
きゅうり独特の青臭さのもとはピラジンという成分です。ピラジンは血液が固まるのを防ぎ、血栓や脳梗塞、心筋梗塞の予防に効果があります。そのほか、カリウムはナトリウムの排出を促し、腎臓の働きを助けてくれるので、血圧を正常に保つ働きがあります。しかしきゅうりは全体の90%以上が水分で、ビタミンC、カロチン、カリウムなども含まれますが含有量は非常に低いです。ギネスブックには、世界一カロリーの低い果実として掲載されたとか。
きゅうりは、みずみずしい香りと、パリッとした歯切れのよさがいのちです。食べる際には、切り口が黒ずんでいないもの、両端がかたいもの、色鮮やかで緑色が濃いもの、イボがとがっているもの、中央が細くならず、太さが均一なものを選びます。多少の曲がりは、生育途中の水分や栄養状態などによるもので、鮮度や味、栄養には関係ありません。