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 山形の秋の風物詩といえば、浮かんでくるのが「芋煮」。そのメインはもちろん里芋です。
 里芋は熱帯アジア原産で、日本には中国を経て縄文時代に渡来、稲よりも早く伝えられ栽培されていました。東南アジアや太平洋諸島などの地域ではタロイモと呼ばれており、日本では山に自生する芋に対し、里で栽培されることからこの名がついたとされています。江戸時代まで、里芋は芋類の主流でした。1950年の野菜の生産量ではベスト3に入っていましたが、海外からさつまいもやじゃがいもが入ってきてからは、減少の傾向にあります。
 里芋は根のように見えて実は茎が肥大したものです。株の中心に親芋ができ、その周りに小さな子芋が増えていきます。色々な種類があり、たけのこ芋のように親芋を主に食べる品種や、土垂などのように子芋だけ食べるもの、また、えび芋のようにそのどちらも食べるものもあります。
 たくさんの芋がつくことから、子孫繁栄の象徴としてお正月や行事などの料理にも使われています。

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 タロイモの品種はきわめて多く、各民族に独特の多くの品種があります。栽培形態としては、畑でつくるものと水田でつくるものがあり、植え方も茎の先端を切って苗として植える方法や、種芋を植える方法があります。
 日本で栽培される里芋は、種ではなく芋で植えます。続けて栽培すると連作障害をおこして収量が減るので、毎年畑を変えて栽培します。里芋は貯蔵性がよく1年中出回っていますが、品種により旬が少しずれてくるようです。置賜で栽培される土垂などの品種は、10月上旬~11月上旬が旬です。

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里芋の主成分はでんぷんとたんぱく質で、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウムを含んでいます。中でも食物繊維の一種であるガラクタンは、脳細胞を活性化させ、老化やボケを防止し、コレステロールを下げる効果があります。ぬめりの素でもあるムチンには、肝臓を丈夫にしたり、胃腸の表面を保護し、胃潰瘍や腸炎を予防する効果があります。腸を整え便秘の改善に効果があり、ガンの増殖を抑える働きがあることもわかってきました。
里芋を選ぶ際には、縞模様が等間隔でふっくらと丸みがあって変色や傷がなく、適度に湿り気があるものが良品です。お尻の部分がやわらかいものは傷んでいたり、鮮度が落ちている可能性があります。
 山形で作られる芋煮は、地方によって具材や味付けが異なります。置賜、特に米沢では、きのこと豆腐が加わり味噌を少々入れます。牛肉が加わるようになったのは、大正の頃からです。また、ずいきと呼ばれる茎の部分も置賜地域ではさかんに食されていました。皮をむいてから茹で、アクを抜いて煮物や味噌汁の具、酢の物などに使われます。乾物は水で戻してから煮物、炒め物にします。

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