あけびは、漢字では「通草」または「木通」と書き、これはあけびのつるに空洞があり空気が通るからといわれています。東アジア原産で、日本にも古来から自生していました。江戸時代にはあけびの種から油を採取していたようですが、商品として栽培されるようになったのは最近のことです。
現在販売されているあけびの80%以上は山形で生産されたもので、県内産地の中でも白鷹町のあけびは有名です。
秋の風味としてよく知られるあけびは、甘味源だけでなく、新芽は山菜として、種子は採油用に、蔓は編んでかごに、と様々な用途に利用してきました。
全国の山間部に自生しています。旬は8月中旬~10月下旬で、近年は栽培もされるようになりました。栽培にはミツバアケビ由来の品種が多く用いられます。あけびは雨に弱く、完全に熟していなくても雨が多いと実が割れてしまいます。
色、大きさ、傷の有無などで3つの等級に分けられます。関東や関西へも出荷され、食用のほかディスプレイにも用いられます。
種子を包む乳白色のゼリー状の胎座は、甘味があり、果物として食されます。果物、と聞いて疑問に思った人は、山形県民でしょう。山形県民だけは、甘い中身を捨てて果皮を調理して食べるからです。果皮はほろ苦く、内部にひき肉を詰めて油で揚げたり、刻んで味噌炒めにするなどして食べられます。このほか、東北地方などでは、乾燥させたり塩漬けにしたりと、古くから保存食として利用されてきました。また、蔓の部分に含まれるアケビンという成分は、利尿、鎮痛効果がある生薬として用いられています。
果肉にはいちごと同じくらいのビタミンCが含まれており、風邪予防や美肌効果が期待できます。また、貧血予防によいとされる葉酸も含まれています。果皮には高血圧を予防するカリウムが多く含まれるので、炒め物などにして食べるといいです。
食べる際には、果皮に張りがあり、色づきのよいものを選びましょう。果皮が割れているものは完熟している証拠で、割れた実が白色から半透明に変わってきたら食べ頃です。