日本、朝鮮、中国などに分布する雌雄異株の蔓性の落葉樹。日本での栽培は、こくわの味に魅せられた農家が食味の似たキウイフルーツの栽培を試みたことがはじまりでした。しかしキウイフルーツの栽培は大変困難だったため断念、すると近縁のシナサルナシが中国南部からニュージーランドで栽培果樹化されていることを知り、これを日本に導入したことが始まりだといわれています。
蔓は直径約5cm、長さは50mにも伸びることがあります。非常に丈夫で腐りにくいことから「祖谷のかずら橋」(吊り橋)の材料にも使用されています。また、水を吸い上げる能力が高く、蔓の中にも大量の樹液を含んでいるため、山中で飲用水が不足した場合に用いられることもあります。
蔓性の植物なので、棚状やフェンス上に仕立てます。病害虫に強く、生育旺盛で容易に栽培できます。雄の木と雌の木があり、雄は実をつけないので雌の木を育てます。一年で約5mも伸び、5~7年ものが一番いい実をつけます。旬は8月下旬から9月上旬。霜にあたると落果してしまうため、霜が降りる前に収穫します。また、黄色く熟してくるとタヌキや熊が食べに現れるので注意が必要です。
果実はキウイフルーツを無毛にして小さくしたような外見で、緑色で2~3cm程度の大きさです。味はキウイフルーツに似ていますが、より香りが強く、微かな酸味と甘味があります。長く楽しみたいときは冷凍庫に入れて保存しておくと、シャーベットとして楽しめます。熟した果実は、果実酒などに使用したり、ジュース、砂糖漬け、ジャムなどにも利用できます。
こくわはきわめて栄養価が高く、滋養強壮があるといわれ、胃腸の働きを活発にさせ整腸作用があるといわれています。ビタミンやミネラル、ポリフェノールを多く含んでいて、アクチニジンというタンパク質分解酵素も多く含んでいます。
置賜地域では、飯豊町がこくわ栽培に力を入れています。こくわジャムやこくわワインなどが有名です。