日本原産の山菜です。北海道から九州まで全国各地の山野に自生していますが、すでに平安時代には栽培されていたという古い野菜です。盛んに栽培が行われるようになったのは江戸時代以降です。ふきの名前の由来は諸説あり、冬に黄色の花を咲かせるところから、冬黄(ふゆき)がつまってふきになったとも、茎に息を吹き込める穴があるため、とも言われます。古くは”ふふき”とよばれ、布々岐とも書いていたそうです。
地上には花芽と葉が出ていますが、茎の部分は地中に伸びています。フキはその地下茎からでてきた葉の柄の部分にあたります。また、春一番にフキの地下茎から出てくる花のツボミがふきのとうです。
茎は地上には伸びず、地中で地下茎となり横に伸びます。地下茎が地表に剥き出しになると光合成のため緑色に変色します。このため、ワサビと間違われて誤食される例がありますが、地下茎は有毒のため注意が必要です。
栄養成分は豊富ではありませんが、食物繊維やカロチン、ビタミンB1、カリウム、カルシウム、ナトリウムなどのミネラルを含んでいます。特有の苦味を感じさせる成分の1つ「アルカノイド」は、新陳代謝を促進する働きがあるといわれています。民間療法で痰を切り咳を止める薬用としても認められています。食用のほか、葉は打ち身の湿布や蛇に噛まれた時の手当にも利用されてきました。
選ぶ際には、葉がいきいきしていて全体がみずみずしく、緑色がきれいなものが良いです。太すぎず、なるべく空洞が無い物の方が柔らかいです。
食べ方としては、まずアク抜きをする必要があります。鍋に入る長さにカットし、まな板の上に並べて塩をかけ、両手で前後に押し転がすように板ずりします。塩が付いたまま熱湯で4~5分ゆでて冷水につけ、冷めたら皮をきれいに取ります。アク抜きがすんだら、和え物やおひたし、煮物、炒め物、ふきの天ぷら、サラダ、などにして食べます。