昔、修業中の行者は精力がつくものを食べることは禁止されていましたが、こっそり食べたという言い伝えから「行者にんにく」の名前がつきました。
北海道から近畿地方に分布し、本州では日本海側の山地に多いようです。 成長には長い年月がかかるにもかかわらず、根こそぎ乱獲する人も増えたため天然ものは貴重になりました。そのため「幻の山菜」とも呼ばれています。しかし現在では栽培技術が確立され、栽培されたものも多く出回っています。
行者にんにくは成長が非常に遅く、種を蒔いてから2年目の春にようやく地表に芽を出します。3年目頃から葉が2枚以上になり、5年目あたりで花が咲きます。種を蒔いてから5年目が食べごろです。冬は地上部が枯れますが球根は残っていて、春になってそこから出てくる若い葉と茎の部分を食用とします。
行者にんにくはアリシン(硫化アリル)をたくさん含んでいるため、血液中の脂肪を減らす効果があり、疲労回復、滋養強壮、さらに内蔵脂肪を減らす効果があります。また、血圧が安定し、視力の衰えを抑制するとも言われています。アリシンはビタミンB1とともに取ると疲労回復にも効果を発揮します。このアリシンはにんにくよりも多く含まれているのだとか。また、抗発ガン作用や免疫賦活作用があるβ-カロテン、カルシウムを骨に定着させる働きなどがあるビタミンKなども豊富です。
選ぶ際には葉が開いていないもの、株がしっかりと太っているものを選びましょう。また、葉の先までみずみずしく張りがあり、根元の切り口が新しいものを選びます。
食べ方は、生で味噌などをつけて食べるほか、軽く茹でたおひたしや和え物、野菜炒め、天ぷら、卵とじなどにしても美味しく食べられます。