なすは地域性の高い野菜ですが、一口大の小さな丸なすは全国的にみれば珍しい存在です。薄皮丸なすは現在においても地域内で圧倒的な支持に支えられており、収穫時期になると地域内のどのスーパー、八百屋さん等でも購入することができます。
広く地域一円で栽培されているせいか、その言われも複数伝えられています。いわく、皮が硬いのが欠点の「窪田なす」の改良種が地域にひろまったものだとか、いわく、50年以上前に、宮内町(現南陽市)の篤農家が新潟の行商人から仕入れた種がひろまったものだとか。いずれにしろ、DNAを調べると新潟県の「巾着なす」に近いようです。ここにも、越後から米沢に移封されてきた上杉藩のつながりが垣間見えます。
6月下旬から9月末頃までの間、食べやすい一口大の大きさ(3~4cm)のときに収穫されます。
薄皮丸なすは、置賜地方を中心に約700戸が生産に取組み、年間約500トンを収穫しています。県内の同じ丸なすでも、米沢の窪田なすや鶴岡の民田なすに比べて皮が薄くて柔らかく、浅漬けなどに適しているのが特徴です。
なすの紫色の成分であるナスニン、ポリフェノールはコレステロールを下げる効果があるといわれています。そのほか、カリウムには利尿作用があり、アントシアニンには抗酸化力があるため、紫外線から肌を守ります。
果実は食べやすい一口大で濃い紫色をしており、皮が薄く、漬けるとパリッと歯ざわりがいいのが特徴です。薄皮丸なす定番の漬物「一夜漬け」は、漬け液とミョウバンを煮立てて冷まし、へたを取った薄皮丸なすと一緒に容器に入れて蓋を閉め、7~8時間漬ければ出来上がり。各家庭で味や漬け方も様々なため、代々伝わる家庭の味です。おじゃましたときにお茶請けとして振る舞われることもしばしば。