畔藤きゅうりは、白鷹町畔藤地区の地名が名前の由来です。畔藤きゅうりの発祥に挙げられる説として、明治以前に、畔藤地区の農家が伊勢参りの途中、東海道中のどこかの宿で種子と栽培の方法を得てきたというものです。かつてはこの地域では、キュウリといえば畔藤きゅうりというぐらい栽培されていました。しかし、小さくてたくさんとれる現在のきゅうりに、大きくてたくさんとれない畔藤きゅうりは市場から押し出されてしまいました。現在は2~3軒のわずかな農家でしか栽培されておりません。
畔藤きゅうりは、長さが30~35センチ、直径は3.5センチ、重さは250グラム前後と、細長いきゅうりです。一般のきゅうりの濃い緑色で白いイボのものと違って、淡い緑色で黒いイボがついています。
大きいきゅうりは味が大味なイメージがありますが、そんなことはありません。むしろ、一定年齢以上の方が食べていたころのきゅうりの味だそうです。つまり、しっかりした甘みとうま味を持ったきゅうりなのです。また、細く種も小さく、皮が薄くて水っぽくないので食べやすいきゅうりで、漬物にも適しています。
参考文献
「どこかの畑の片すみで―在来作物はやまがたの文化財―」 山形在来作物研究会/編
山形大学出版会 2007年刊
「日本の野菜 青葉高著作選Ⅰ」 青葉高 八坂書房 2000年刊