原産地とされる南ヨーロッパからロシア南部では古くから自生しており、ヨーロッパでは紀元前からローマやギリシャで栽培されていた歴史の古い野菜です。食用のほかに薬としても利用されていたようです。日本に伝わったのは江戸時代ですが、当時は細い葉の姿を鑑賞するために栽培されていました。食用としては大正時代に北海道で栽培が始まりました。当初はホワイトアスパラガスがメインでほとんどが缶詰にされていましたが、昭和40年代以降はグリーンアスパラガスが好まれるようになり、ホワイトアスパラガスは減少しました。
アスパラガスの語源は「たくさん分かれる」とか「激しく裂ける」というギリシャ語で、新芽をさすといわれています。
アスパラガスには地下茎があり、先細いイモのような貯蔵根がたくさんあって、そこから出てくる若芽が可食部です。トマトやナスなどの一年草の野菜とは違い、一度植えてしまえば手入れもそれほど必要なく、7~8年ほど毎年収穫し続けることができます。
グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスの差は栽培方法にあり、品種の違いではありません。ホワイトは若芽に光があたらないように盛り土をして栽培します。日光をあてて育てれば、グリーンアスパラガスになります。
旬は5月~6月中旬ですが、ハウスや水耕栽培などによって一年中出回るようになりました。
アミノ酸の一種、アスパラギン酸が豊富に含まれ、有害物質を排除し新陳代謝を高めて神経を守ってくれます。また穂先に含まれるルチンは、毛細血管を強化し、高血圧動脈硬化を予防します。そのほか、アスパラガスには抗酸化作用のあるβカロテンや、造血作用のある葉酸、高血圧予防によいとされるカリウムなどが含まれます。なおホワイトアスパラガスよりもグリーンアスパラガスのほうが栄養価が高く、紫アスパラガスはがん予防によいとされるアントシアニンが多く含まれています。
選ぶ際には、茎が太めでまっすぐに伸び、緑が鮮やかで全体にハリがあり、穂先がしまっているものを選びましょう。
少なめのお湯に塩を少々振り、数十秒蒸しゆで状態にすると、生の時のさわやかな香りと、加熱して得られる甘みが楽しめます。ゆでたら、すぐに冷水で冷やすと色よく仕上がります。