原産地は中央アジアで、紀元前のペルシャ、エジプトでも食された記録があり、最古の栽培作物のひとつです。エジプトではピラミッド建設の労働者にも食べさせ、給料の支払いにも使われていた記録もあるとか。その後ヨーロッパ全域に広まったのは16世紀頃とかなり遅く、栽培が行われるようになったのは17世紀になってからです。日本へは江戸時代に長崎に伝来しましたが、本格的な栽培が始まったのは明治時代です。
玉葱の品種は色々あり、一般的な玉ねぎは収穫後に干され、表皮を乾燥させ保存性を高めて出荷されます。これに使われるのは黄玉葱です。一方、新玉葱と呼ばれるものがあります。こちらは、主に白玉葱の品種で、水分が多く乾燥処理に向いていないので、収穫後すぐに出荷されます。また、黄玉葱を乾燥処理せずに収穫後すぐに出荷されたものも新玉葱と呼ばれたりします。
一般的に玉葱と呼んでいる部分は根ではなく、ニンニクやラッキョウと同じく葉の根元が養分を蓄えて丸く太った物です。玉葱を切ると、根がついているところに薄黄色のレンズ状の組織があるのが見えますが、ここが茎です。
収穫のサインは地上部の葉の部分。これが自然に倒れたら食べごろです。置賜地域では7月中旬から8月下旬までが旬となります。
和洋中どんな料理にも活用され、生で食べればツンと辛く、火を通すとろーり甘く旨みが出てくる玉葱は、様々な栄養素を含んだ野菜です。
玉葱のにおいや辛味のもとは硫化アリルという成分で、ビタミンB1の吸収をよくする働きがあります。硫化アリルは玉葱を切ると細胞が壊れてアリシンという成分に変わります。アリシンは血液をサラサラにし血栓をできにくくする働きがあり、脳梗塞や動脈硬化の予防に効果があります。また、フラクトオリゴ糖はビフィズス菌の大好物で、菌を増殖させて腸内環境を良好に保ちます。またグルコキニンという成分には血糖値を下げる作用が認められています。皮の部分に多く含まれる、ポリフェノールの一種ケルセチンは、強い抗酸化作用で細胞の老化を防ぎ、脂肪の沈着を阻止し排出まで促してくれます。
ツンとくる匂いには神経をしずめる作用があり、眠れない夜には刻んだ玉ねぎを枕元に置いておくと安眠効果が期待できるといわれています。
選ぶ際には、頭部が固くしっかりしていて重みがあるもの、表面の皮が乾燥していてツヤとハリがあるものを選びます。